

CROSS TALK
特別対談



あらゆる購買データを網羅する「家計調査サービスアプリMHS※」を自ら起案し、
マクロミルのデータベース事業を牽引するN.K氏。
デジタルマーケティングの可能性にいち早く着目し、事業化を推進するA.G氏。
2人が語るデータベース事業の未来とは。


N.K
「あなたは一ヶ月半前にどんな飲み物を買いましたか?」と聞かれて、明確に答えられる人はほとんどいません。人の意識とは曖昧なものです。その曖昧さを排除し、購入したデータ、つまり消費者が“購買した”という事実を収集し、「なぜこのような買い方をしたのか」という購買の構造を解き明かしていくことがパネルデータ事業部の役割ですね。
A.G
デジタルマーケティング事業部では、GoogleやYahoo!のようなメディアの接触ログデータを集め、ネットリサーチで聴取した意識データを組み合わせることで様々なインサイトを発掘しています。具体的にはクライアントのデジタルキャンペーンに対して、CPCやCPAといった指標ではなく、ブランド効果検証や、施策改善の元となるデータ収集・分析を行っています。
N.K
いまやインターネットを利用して商品を購買する人がどんどん増えています。リアルな店舗での購買とデジタルの購買。それをどう使い分けているのかを捉えられれば、商品やサービスを開発するクライアント側にとっては非常に有益なデータになります。
A.G
デジタル広告の市場は加速度的に拡大しており、昨年1兆円を越え、さらに成長が期待されています。そんな中で、今後のデジタル広告市場の健全な市場成長のためにもその効果をしっかりと図る役割が世の中には必要です。人々の時間がテレビからスマホアプリをふくめたデジタル、ネット領域に移ってきているなか、クライアント側もマーケティングの戦略が変わってきています。ゆえに、マクロミルとしてもその世の中の流れに対応しなければなりません。
N.K
マーケティングの最終目的は商品を買ってもらうこと。根源的なマーケティングニーズから私たちのパネルデータ事業は生まれましたが、今や複雑さを極めています。たとえば、朝食でシリアル系の食品がヒットしていますが、朝食市場で考えるとライバルはヨーグルトや牛乳かもしれません。同類商品(この例でいうとシリアル市場)だけのデータを調べるだけでは、競争力のある商品開発はできない時代になってきています。
A.G
デジタルデバイスもどんどん増えていて、近い将来、テレビは既に始まっているところですが、冷蔵庫などの家電もすべてIoT(モノのインターネット)になるとも言われています。すべてがインターネットにつながると収集可能なデータの量はどんどん増えていきますね。
N.K
だからこそ、あらゆるデータを収集している私たちマクロミルの存在価値がある。マーケティングデータは、3年、5年と定点比較できることで価値が高まります。そういう意味では、データベースの事業は、データを貯めなければはじまりません。ネットリサーチの先駆者であることが、私たちマクロミルがクライアントに選ばれている一因とも言えますね。


A.G
私が担当しているAccessMillというサービスは90万人のWEB上のログデータを収集できるということも大きな強みになっていると思います。おそらくログが取得できる有効なモニタ数は、日本随一でしょう。
N.K
データを分析すれば事実が見え、仮説は立てられます。でも、パネルデータ事業部で収集できる購買データだけでは「なぜ買ったのか」という背景まではわからない。重要なのは、仮説から「やはりそうだったんだ」という事実まで導けること。企業もその情報を求めていますからね。まずは購買の事実を捉え、さらに人の意識をオンラインリサーチやオフラインリサーチと組み合わせることで把握できるのが、マクロミルの一番の資産だと思いますね。
A.G
データを収集できる企業はあるけれど、収集したデータに対して「なんで?」「誰が?」ということまで導き出せる企業はほとんどないでしょう。ビッグデータや膨大なログデータなどデータは世の中に溢れていますが、サイトが消費行動にとってどんな役割を果たしているのか、それを明らかにできるアプローチ方法を持っているのはマクロミルの強みですね。
N.K
多くのシステムを自社開発していることで、スピード感や柔軟な対応力も強みになっていると実感するのでは?
A.G
特にメディアやグローバルなプラットフォームを運営しているような会社が突如ルールを180度変えることも珍しくないデジタル領域の世界では、すぐにシステム的に対応できるのは大きな強みです。メデイア計測ログを自社開発できていない会社は、おそらく対応も後手になってしまうでしょう。また、固定費も高くなってしまうので、当社にはコスト面でも優位性がでてくる。事業をスタートした当初は大変な面もありましたが、自社開発にしたことにより、スピードと柔軟性、そして組織を持てたことが大きな武器になってくると確信を持っています。
N.K
事業のスタートといえば、何度も会社にプレゼンテーションして始まったよね?
A.G
4、5回はプレゼンしたと思います。やりたかったし、世の中の流れからしても絶対にやるべきだと思ったので粘りました。ただ、時代の先端領域ゆえに、周囲に見本がないので、自分たちが自ら動いて事例や基準をつくることを求められる。試行錯誤、トライ&エラーは避けられません。産みの苦しみであり、楽しみでもあるけれど、そこを組織的にどう効率化して、スピードアップしていくかが今後の課題ですね。
N.K
事業創造の普遍的な課題ですね。ただ、マクロミルはマーケティング活動をしているほぼすべての会社と繋がりがある。何かのサービスをやろうとした時に、ニーズをすぐにヒアリングできることは強みだと感じます。
A.G
ただ、事業の拡大スピードに組織拡大、人材確保が追いついていないのが悩みです。特に大量データを分析できる人材は、世界的にも不足している。いわゆるデータサイエンティストの育成は急務です。
N.K
マクロミルには幸いにも優秀なデータサイエンティストがいるし、良質な収集データもある。育てられる環境はあるわけだから、あとはいかに早く優秀な人材を育てていくか。グローバル化もどんどん進んでいくし。


A.G
欧米への進出を果たした今、今後はASEANや中国にビジネスチャンスは広がっていくでしょう。インターネットの世界はモノがいらないので国境は超えやすいですが、国民性は国ごとに大きく異なるので、特性をしっかりと捉えていきたいですね。
N.K
日本の企業もどんどん海外展開している今、現地のデータを収集してほしいというオーダーは実際多いですね。上司に直談判して実現した「家計調査サービスMHS※」は、アプリだからスマホがあればできるし、言語を対応すればいいだけから海外でも容易に使える。とはいえ、海外の人たちが日本人のように律儀にデータをつけてくれるとは限らないから、どう精緻なデータを引き出していくかが重要になるでしょう。
A.G
今、時代が大きく変化していて、まさにパラダイムシフトが起きる瞬間。もうこれまでの枠組みだけでは物事を決められない時代に来ています。ゆえにデータを持っている会社、そしてそれを活かすことができる会社が残ると思いますね。
N.K
誰でも知っている有名ブランドの飲料水でも購買率は数%程度。90%以上の人は買わないわけです。どうすれば購買率をもっと高められるか。購買のデータも“買った”という事実だけでなく、店頭にカメラを設置して、人の属性を把握した上でどういう導線で店内を動いたのか、どんな商品を手に取ったのかまで把握しようというところまで来ています。ちなみに、この企画は入社2年目の新卒社員が起案したものです。マクロミルには、変革・チャレンジを好み、手をあげればどんどんチャレンジさせてくれる文化があります。時代が変わりつつある今だからこそ、更に新しいことを生み出すチャレンジをしていかないといけないですね。
A.G
あらゆるものがデジタル化され、データが増えていけば大きく変わる可能性はあると思っています。たとえば位置情報を掴んで、メディアをジャックすれば、その人の動きに合わせて最適なコミュニケーションを次々と打つこともできる。認知、興味、検討そして購買までの道のりを、これまで考えられないくらい効率的に描けるかもしれない。その環境がマクロミルにはある。世の中を最先端で変えるチャンスがあると思っています。
※MHS(MACROMILL Household Spending Panel Survey)は、世帯・個人の商品・サービス購買を網羅した家計調査データ。
「いつ・どこで・誰が・何を・いくつ・いくらで・どうやって・誰のために」購買したかを正確に取得した「家計および個人消費の支出データ」を提供する。